練習曲というと、まず最初に思い浮かぶのが、
数多い作曲で知られているツェルニーでしょう。
私がマルセイユ音楽院にて研鑽している際、
ピエール・バルビゼ先生に、
(恩師安川加寿子先生とパリ高等音楽院同級生)
(パリ高等音楽院教授後、マルセイユ音楽院学長就任)
(パリはバルビゼ先生の後をチッコリーニが継いだ)
「お前は”ガム”やっているか?」と問われて、
何のことだかわからず困惑した覚えがあります。
フランスでのレッスンは、日本と異なる点が多くありました。
バルビゼ先生のレッスンは今では旧式かもしれませんが、
曜日ごとに難易度別のクラスが設定され、
その日にはクラス全員が午後に集まり、
18時くらいまでずっと居るような形を採っていました。
レッスンの方法詳細は別の機会に回すとして、
この”ガム”とはいわゆるジムナスティックのフランス流略語です。
練習曲というよりは基礎訓練にあたるもので、
まさにハノンの発展形と言えるものでした。
Alfred COLTOT: principes rationnels de la technique
全音楽譜社がSalabert社のリプリント版を出版しています。
この本は、Chopinの各曲をコルトーが技術の要点を練習方法を踏まえて
解説している本の、練習パターンを集大成した本だと思っていただければ
間違いないかと思われます。
弾きにくい、または聞きにくい部分を演奏する技術の克服を、
コルトーは目指していました。
コルトーの演奏を聴くと、戦前と戦後ではかなり異なります。
弾けなかった時間を取り戻すかのような練習方法が、
詳細に工夫されています。
本格的なピアニストを目指す人は一見の価値があります。
しかし、これを上回る”ガム”があることを発見しました。
それについては次回に!